脱炭素社会の実現のため、環境省が実用化・製品化に向けて開発してきた革新的な部材や素材(窒化ガリウム(GaN)及びセルロースナノファイバー(CNF))は、従来の部材や素材を用いた製品と比較して大幅な省CO2を達成することが可能であり、これらの社会実装・普及展開を加速し、実際のCO2排出削減につなげていくことが必要です。GaNやCNF等の革新的部材・素材技術は、民生機器、通信機器等の様々な分野に展開できるポテンシャルを秘めている一方で、性能評価、性能向上、コスト面等の課題があることから開発・実証が必要であり、民間事業者が単独で実施するにはハードルが高く、インセンティブも十分ではない現状にあります。このため、革新的部材・素材を実際の量産向け製品に実装する段階の普及を支援・推進することで、2050年カーボンニュートラルの実現に貢献します。
本事業では省CO2性能の高い革新的な部材や素材を活用し、実機搭載における低コスト化、安全性、信頼性、省エネ効果、品質向上策等に関する実現可能性調査(FS)及び技術開発・実証を実施し、これらの部材や素材の早期の社会実装による大幅なCO2排出削減を実現することを目的とします。
GaN半導体発振器を用いたマイクロ波加熱は、従来のマグネトロン型加熱とは本質的に異なるインパクトをもたらします。最大の特徴は、周波数・位相・出力を高精度かつ高速に制御できる点で、マイクロ波を単なる「熱源」ではなく、制御可能な電磁場として扱えるようになることです。これにより、電磁界分布の設計や時間変調を通じて、加熱の均一化、選択的励起、急峻な温度制御が可能となり、再現性や安全性が向上するだけでなく、従来は不確定要素とされてきたマイクロ波効果を工学的に検証・活用できる基盤が整います。GaN半導体マイクロ波は、マイクロ波加熱を経験則的技術から、反応場を設計する精密プロセス工学へと発展させる鍵となるだけでなく、コヒーレントなマイクロ波による新しい反応制御を可能にします。
マイクロ波に駆動された化学反応において、単なるジュール加熱では説明しきれない、電磁場との相互作用によって反応速度や生成物選択性が変化する現象がしばしば報告されています。通常とは異なる反応経路が誘起されていることを指すこの反応では、電界・磁界に駆動されている物質移動が原因と指摘されています。これらの反応は再現性が課題である一方、反応の高速化・省エネ化・選択性向上の鍵として期待されています。この駆動力となる電界や磁界を、GaNが発振する単位相の波で強化することで、新しい材料化学プロセスを構築することを目的とします。



